SHR―Seamless Hot Restoreとは?

Seamless Hot Restore(SHR)は復元するまで仮想マシンを使えない、言い換えると仮想マシンの復元時間によるダウンタイムをなくすことができる機能です。

バックアップはHyper-VホストのボリュームをAIPと同じイメージングバックアップを行います。イメージングバックアップですので仮想マシン、仮想ディスクすべてを含んだ状態でのバックアップが作成できます。もちろんスケジュールも増分も可能です。ここまでは通常のAIPと同じです。違うのはリストアの方法です。

以前のバージョンにも、for Hyper-Vには保存したホスト全体のバックアップイメージから個別に仮想マシンを選択して復元するReZoom機能が搭載されています。イメージファイル内にある仮想マシンがリストアップされるので、復元したい仮想マシンを指定すると、仮想マシンと関連ファイルがコピーされHyper-Vマネージャに登録されます。復元完了後、ユーザーはHyper-Vマネージャから仮想マシンを起動できる、という具合でした。つまり、ReZoomは静的に仮想マシンを復元するわけです。

仮想マシンのトラブル → イメージファイルからReZoomで仮想マシンを復元 → 復元完了 → 起動

という具合です。ReZoomは仮想マシンの復元時にとても便利な機能なのですが、実際にReZoomを行うと数百GBのファイルコピーになりますのでその時間は馬鹿になりません。仮想マシンが元の形に復元されなければ起動は当然できませんから、その間はなにもすることができませんし、仮に外部から接続される仮想サーバーであったら、その間はサービスは停止することになります。この待ち時間をなくしてしまおうというのがSeamless Hot Restore(SHR)です。

仮想マシンのトラブル → イメージファイルからReZoomで仮想マシンを → 起動

になるわけです。

SHRでは、復元の開始と同時に仮想マシンを起動できます。ReZoomは復元が完了するまではマシンの起動ができなかったのに対して、SHRはシームレス仮想マシンという形で先にイメージファイル内の仮想マシンを起動してしまいます。普通に元の仮想マシンが起動している状態ですので運用を開始できます。仮想マシンの復元完了までの時間を待つ必要がなくなり、その分のダウンタイムをなくすことができます。

ReZoomとSHR

ReZoomとSHR

シームレス仮想マシンで運用している間、同時にバックグラウンドではReZoomが復元を行っています。その間、シームレス仮想マシンでは運用し続けているので、その仮想ディスクにも刻々と変更が加えられています。ReZoomによる復元が完了すると、復元が完了した仮想マシンに切り替えて運用を再開することができます。この時シームレス仮想マシン上で行われたディスクの変更だけでなくメモリも含んだ設定を引き継いで、そのまま運用を継続できます。実際には切り替え時に仮想マシンが一時停止(保存状態)になり、すぐに(1分程度)再開して運用を再開します。注意してほしいのは、再起動ではなく、仮想マシンの停止ですので作業中のものはすべて保存されており、シームレス仮想マシン上で行われた作業はなにも失いません。たとえば、WordやExcelでなにか編集をしていて、ウィンドウを開いたまま、保存をしていない状態で切り替えても、再開後にそこから作業を再開できます。メールサーバーとして運用していて、シームレス仮想マシンが正しく受け取ったメールはそのまま引き継がれます。

SHRのしくみ

SHRのしくみ

ReZoomの復元先は同じHyper-Vホストでなくても可能ですので、ホストそのものに障害が起きた場合でも、他のHyper-Vホストに優先的に復旧したい仮想マシンをSHRで復元することでダウンタイムを減らすことができます。

SHR機能はActiveImage Protector for Hyper-V with SHRfor Hyper-V Enterprise に搭載されています。

with SHRは仮想マシンの保護にフォーカスして機能、価格を絞った新製品です。小規模なHyper-V環境でクラスタやHAの構築するほどではない、あるいは費用がかさむので導入できず仮想マシンの保護ができていない場合には、低コストで仮想マシンのダウンタイム削減が可能なりますので、特にお勧めします。