ハイパーバイザーホスト、エージェント、エージェントレスのスケジュール運用について
ActiveImage Protectorのスケジュール運用において、各機能での複数スケジュールタスクの同時刻実行、および世代管理に関する仕様とその注意点について説明します。
ActiveImage Protectorは、世代管理でスケジュール管理を行うことができます。また、世代はフルバックアップ+増分バックアップを1つの世代としてカウントします。
保有ポリシーを設定することで自動削除が可能となりますが、フルバックアップ(ファイルの拡張子aiv)+増分バックアップ(ファイルの拡張子aii)を1つの世代として認識するので、自動削除が行われる条件はフルバックアップの作成になります。
*保存先にバックアップが存在せず、初回のスケジュールが増分時刻の場合は、フルバックアップを作成します。以降はスケジュール通りの動作となります。
*増分トリガーのみのスケジュール運用では、自動削除は動作しません。
*シャットダウンバックアップのみの運用の場合、2回目以降のシャットダウンバックアップは増分タスクとして実行するため、自動削除は動作しません。
ActiveImage Protector 2016以前の旧バージョンなどは、タスクキューイングの仕様が若干異なりますが、大枠の自動削除の定義は同じです。当記事ではActiveImage Protector 2018以降の動作説明を行います。
●エージェントバックアップ
ActiveImage コンソールの[操作]>[バックアップ]>[ボリュームバックアップ]からスケジュールを作成することができます。
例1)フルを1つ、増分を複数、トリガーは1つずつ
この場合、
1)フルを水曜日に作成し、月火木金に増分を作成します。
2)翌週の水曜日にフルを作ると、2世代目の処理が始まります。保有ポリシーを有効にしており、世代数を1としているので、このフルを作成し終わると、1)のフル+増分のセットを自動削除します。
*初回が水曜日ではなく、他の曜日の増分が動作する場合、その日にはフルを作成します。以降はスケジュール通りの動作となりますが、初回のフルも世代管理の対象です。
*作成したスケジュールを使用して、手動またはコマンドラインでフルまたは増分バックアップを実行することができますが、それらの実行方法でも、世代管理の対象となります。
*[新世代作成前に旧世代を削除する] をオンにすると、保存先に空きの余裕が無い場合に有効となるオプションですが、2)のフルを作成する前に1)のフル+増分のセットを自動削除します。そのため、2)のフルが何らかの理由で失敗した場合、保存先に1つもバックアップが存在していない、という状況が発生する恐れがあります。保存先の空きと相談して設計して下さい。
*保有ポリシーを有効にする、の右の[保有対象外となった世代のイメージファイルを全て削除]のリストボックスは、保存先の空きに余裕が無い場合はデフォルトのままを強く推奨します。
例2)フルと増分のトリガーがそれぞれ複数存在(保有ポリシーは例1と同じとします。)
例1と同じく、1つのスケジュールに対しトリガーが複数あっても、フル+増分が1世代、という考え方は変わりません。この場合例えば、
1)初回月末にフルを作成、1日に増分、月火に増分
2)水曜日にフル、1)のフル+増分のセットを自動削除、…
となります。
尚、トリガーが複数存在すると、スケジュール時間が重なる可能性が高まります。その場合の仕様は下記です。
*エージェントバックアップは常にシーケンシャルバックアップとなります。複数のタスクが同時実行されることはありません。
*1つのスケジュールに対して、フルのトリガーと増分のトリガーの開始時刻が複数重なる場合、またはフルのトリガーの開始時刻が複数重なる場合は、1つのフルのタスクが優先され、動作します。残りはキューイングされずスキップします。
*増分のトリガーが複数同時刻で重なる場合、1つの増分のみ実行し、残りの増分はキューイングされずにスキップします。
*1つのスケジュールが実行中に、別の時刻のタスクが開始時刻になった場合、後者のタスクはキューイングされます。ただし、動作中のタスクと後者のタスクがどちらも増分の場合、後者の増分はキューイングされずにスキップします。
*エージェントバックアップは、バックアップ対象に対して、複数のスケジュールを組むことが可能ですが、別のスケジュールとは依存しないため、スケジュール実行中に別のスケジュールが実行時刻になると、キューイングされます。
●エージェントレスバックアップ
ActiveImage コンソールの、[バックアップ]>[HyperBack]からスケジュールを作成することができます。エージェントレスの場合、1つのゲストに対し、スケジュールを組めるのは1つだけです。スケジュール時刻が重なった場合の仕様はエージェントバックアップと同じで、下記となります。
*1つのスケジュールに対して、フルのトリガーと増分のトリガーの開始時刻が複数重なる場合、またはフルのトリガーの開始時刻が複数重なる場合は、1つのフルのタスクが優先され、動作します。残りはキューイングされずスキップします。
*増分のトリガーが複数同時刻で重なる場合、1つの増分のみ実行し、残りの増分はキューイングされずにスキップします。
*1つのスケジュールが実行中に、別の時刻のタスクが開始時刻になった場合、後者のタスクはキューイングされます。ただし、動作中のタスクと後者のタスクがどちらも増分の場合、後者の増分はキューイングされずにスキップします。
エージェントレスでは、[環境設定]>[HyperBack] – 操作モード: の設定により、複数のスケジュールを並列に動作させることができます。
操作モードがパラレルバックアップ(デフォルト、台数5)の場合、パラレルでタスクは動作できますが、同時実行数が設定値を超えた場合は、越えた分がキューイングされ、動作中のいずれかのタスクが完了すると、自動で動作します。
例えばデフォルトの台数5で、ゲスト6台を同時刻のスケジュールで組んだ場合、スケジュール時間では5台のスケジュールが同時に動作を開始し、残り1台のスケジュールはキューイングされます。動作中の任意のスケジュールが1つ完了すると、キューイングされていたタスクがバックアップを開始します。
●スケジュール設計における注意点
ActiveImage Protectorは、Hyper-Vのハイパーバイザーホストにインストールし、ゲストを丸ごとバックアップが可能ですが、その上のゲストについてもエージェント/エージェントレスバックアップを行う場合は、以下の注意がございます。
*ハイパーバイザーのホストバックアップ、エージェントバックアップ、エージェントレスバックアップは、同時刻の実行を避けてください。
*Hyper-Vホストとその上のゲストのバックアップについては、エージェント/エージェントレス限らず同時刻での動作を避けての運用を推奨です。ホストのバックアップ中にゲストがエージェントレスバックアップを行うとExit Code: 28678のエラーが発生します。
*ESXiをハイパーバイザーとした場合、ESXi自体にActiveImage Protectorをインストールできませんが、1つのゲストに対してエージェントバックアップが動作中、エージェントレスバックアップを実行すると、-630のエラー(VMスナップショットの作成エラー)が発生し、タスクは失敗しますので、同時刻の実行を避けて下さい。
*エージェントレスのパラレルバックアップは、台数によってはVMスナップショットのエラーが発生します。その場合、同時実行数を減らして下さい。
*エージェントレスバックアップでは、各ゲストに対してスケジュールの作成は1つのみです。複数作成することはできません。
その他の注意点は、下記のナレッジやドキュメントなどをご参照下さい。
尚、スケジュールの作成は柔軟に行なえますが、運用方法と保存先の空き具合などで設計する必要があります。例えば向こう1週間のデータを常に残したい場合、
・週に1回フル、その他の曜日は、1回のみ増分
・保有ポリシーは2世代
とします。2世代とする理由は、3世代目のフルを作成すると、旧世代のフル+増分を削除するためで、この場合、一番少ないファイル数としては、向こう8日分(1世代前のフル1+増分6+最新のフル1)のデータが存在することになります。
Support. T.