ActiveImage Protector 3.5 SP2 について
ActiveImage Protector 3.5 (以下AIP)のSP2をリリースしました。
詳しくはニュースリリースをご覧いただくとして、主な修正はWindows 8、Windows Server 2012 への対応です。Windows Server 2012 対応~と言葉にしてしまうとあっさりしていますが、内容はなかなか濃いものになっています。単に以前からの機能が動作するというだけでなく、以下のWindowsの新機能にも対応しました。
真面目に対応したため、メジャーアップグレード並の修正量になってしまいました。
ReFS(Resilient File System)対応
ReFSは新しく採用された整合性、可用性、スケーラビリティを高めたファイルシステムです。AIPではReFSボリュームのフルバックアップと差分バックアップの作成/リストアが可能です。現バージョンでは増分はできません。スケジュールは差分バックアップになります。
CSVFS対応
CSVFSは以前のクラスター共有ボリュームCSV(Cluster Shared Volume)を一貫性のある一つの名前空間として扱えるようにした新しい機能です。AIPではCSVFSボリュームのフルバックアップ、差分バックアップが可能です。現バージョンでは増分はできません。スケジュールは差分バックアップになります。
記憶域対応
ストレージプールに作成した仮想ディスク(スペース)のバックアップ/リストアが可能です。もちろんイメージファイルの保存先として使用することもできます。
4Kセクター対応
セクターサイズが4Kのハードディスクに対応しました。いままでのハードディスクは1セクターサイズが512バイトが前提でしたが、大容量のハードディスクのためにセクターサイズ4Kのものが出てきています。いまのところ物理セクターは4Kでもハードディスク側でエミュレーションしたり、Windowsも対応していませんでしたが、Windows Server 2012/8からネイティブに4Kセクターを扱えるようになります。今回のアップデートでAIPも4Kセクターを扱えるようになりました。
SP2の細かい話
一番大きな変更は4Kセクターへの対応です。この変更が必須になったのは記憶域への対応でした。記憶域といってもアクセス自体は仮想ディスクなので当初は軽く見ていたのですが、調べてみると仮想ディスクは4Kセクターのディスクとして作成されることがわかりました。
AIPも含めて多くのハードディスク関係のアプリケーションは1セクター512バイトであることを暗黙の了解として使用していました。もちろんセクターサイズの情報は昔から存在しており512以外の値になる可能性はあったのですが今まで変更されたことはなかったのでコードの多くの場所で512を決め打ちで使っていました。
今のところ、物理ディスクで4Kセクターネイティブのみというものは市場でほとんど出回っていないので対応は次のバージョンでも間に合うかなと考えていたのですが、ストレージスペースでこの問題が浮上してきたのです。また、AIPではパフォーマンスを内部的に調整するためにI/O関係のパラメータを細かく設定できるようになっているのですが、現在のパフォーマンス設定だとうまく保存もできない、設定を変更して保存できるようにしてもパフォーマンスが出ない場合があることがわかりました。
4Kセクターサイズで正しく動作するようにする変更自体は、やることが決まっているので大して難しくないのですが、修正する場所がコード全体に散らばっているため全て探して潰していく必要があります。この作業はそれなりの時間がかかります。ですが、せっかくストレージスペースがあるのにイメージファイルを保存できないのはやはりよろしくないので今回のSP2で修正を含めることにしました。その結果、4Kセクター(4Kだけでなく他の512以外のサイズにも対応しています)、ストレージスペースに対応できました。
次に力を入れたのはCSVFSの対応です。2008R2ではCSV―クラスター間での共有ボリュームがありました。このCSVは主にHyper-Vの仮想マシンのストアを目的としていたものでした。これはNTFSボリュームそのものだったので、以前のAIPではバックアップ自体は可能でしたがオーナーノードからのみバックアップが可能で、また、すべてのノード間で整合性をとったバックアップはできませんでした。どういうことかというと、オーナーノード以外で動いていた仮想マシン(の設定と仮想ディスクファイル)は電源強制断の状態でバックアップされてしまうということです。正しくバックアップを作成するには仮想マシンを正常にシャットダウンしてから、ということでした。
2012からは新しくCSVFSとして別のファイルシステムとして認識されるようになりました。それに合わせてVSSのスナップショットも拡張され、他のノードに対してもスナップショットの取得が通知されるようになり、どのノードからでも正しいバックアップが作成可能になりました。 今回のSP2ではこの拡張に対応してCSVFSのバックアップを期待した形で作成することができるようになりました。
このように、今回のSP2ではハードディスク関係、I/O関係、スナップショット(VSS)とコアな部分を見直して機能を強化し、過去からの不具合の修正も多数行っています。