ActiveImage Protector 3.5 SP5 の新機能
AIP3.5のSP5をリリースしました。
今回もサービスパックというよりもメジャーバージョンアップのような盛りだくさんな機能追加を含むアップデートになりました。
SP5での新機能
- 無償版VMware ESXiホストへのP2V(物理-から仮想)の直接変換が可能
P2V機能に新しく“ベーシックモード”を追加しました。従来の有料版ESXiホストに加え、無料ライセンスのESXiホストへもP2Vの直接変換ができ、VMDKファイルの作成が可能となりました。ローカルでVMDKを作成してからホストにアップロードするのに比べて、大幅に時間が節約でき、また利便性も高まります。
- クラウドストレージ対応
バックアップしたイメージファイルのオフサイトレプリケーション(遠隔地データ保存)先として、セキュリティの高いSFTPとクラウドストレージ、Amazon S3を選択して保存できるようになりました。
- ActiveImage ProtectorのIT Pro EditionのAIPBE(Windows PE 起動環境)でP2V(仮想化)をサポート
IT Pro Editionの起動環境内においても物理ハードディスクやバックアップイメージファイルからP2V(仮想化)がおこなえるようになりました。
- リモートコンソリデーション
増分バックアップのコンソリデーションを他のPCのActiveImage Protectorから行うことができます。バックアップの実行リソースとコンソリデーションの実行リソースを分離することで、バックアップマシンにかかる負荷を分散できます。
- オフサイトコンソリデーション
オフサイトレプリケーションした増分バックアップを他のPCのActiveImage Protectorを使ってコンソリデーションできます。遠隔地に保存したイメージファイルを遠隔地でコンソリデーションできますので、コンソリデーション済のファイルを毎回レプリケーションするよりも効率的です。
主にはイメージの操作に関しての新機能になっています。
それでは、各新機能について説明します。
無償版VMware ESXiホストへのP2V(物理-から仮想)の直接変換が可能
P2Vの直接変換機能を使うとイメージファイルやハードディスクを物理仮想変換する際に直接ESXiのデータストアに保存できます。一時的にローカルディスクに保存する必要がないため、容量的にも時間的にも便利な機能です。VMware ESXiの無償版というのは、体験期間がきれたあと制限付で使用することができる状態になったものなのですが、無償版ではvSphere APIによるアクセスが大幅に制限されているため、WindowsマシンからESXiホストのデータストアのアクセスが直接にはできません(ライセンス版や試用期間中はAPIを使用できます)。SP5では無償版でも使用できるAPIのみを組み合わせてP2Vの直接変換を可能にし、ベーシックモードとして搭載しました。ベーシックモードでは従来のP2V(SP5ではアドバンスドモードとして使用できます)とは違いP2VされたVMDKだけが作成されます。変換後はvSphere Clientで仮想マシンを作成してアタッチしてください。
クラウドストレージ対応
オフサイトレプリケーションの保存先としてAmazon S3のバケットとSFTPを選択できるようになりました。以前からWebDAVやFTPには対応していましたので、広い意味でのクラウドストレージへのレプリケーションはできているとは言えてはいましたが、今回はAWSCLIを組み合わせてS3対応を実現しています。また、SFTPにも対応したので安全な通信経路が必要な場合にも対応できます。
IT Pro EditionのAIPBE(Windows PE 起動環境)でP2V(仮想化)をサポート
ITPro Editionは一人の技術者にライセンスされメディアに保存されたAIPを直接あるいはメディア起動してつかう起動環境から使用できる無制限のライセンス製品です。起動環境は主な用途はコールドバックアップや復元になるのでP2Vの機能の使用は行えないようになっていました。今回SP5でPE上でのP2Vの動作を可能にしました。また、ITProは製品の性質上スケジュールによる増分バックアップができませんので主に増分を扱うコンソリデーションやユニファイも使用できないようになっていました。今回、別エディションで作成したイメージファイルの操作も行えるようにイメージ操作全般が可能なように変更しました。
リモート/オフサイトコンソリデーション
ファイル数が多くなりがちな増分バックアップでは、ファイルを結合して一つの増分ファイルにまとめるコンソリデーション機能が便利です。しかしながらバックアップとコンソリデーションを同じマシン上で行うため、リソースの圧迫が問題になってきていました。リモート/オフサイトコンソリデーションはバックアップを実行するマシンとは別のマシン上にインストールしたAIPを使ってコンソリデーションのタスクを分散できるように調整した機能です。
リモートコンソリデーションは、バックアップイメージの保存先に対して別のホストからコンソリデーションを行います。以前のバージョンでこの操作を行うこと自体はできましたが、必ずリコンサイルが動作するため次回の増分バックアップに時間がかかる結果になっていました。SP5からはイメージの整合性検証を見直してコンソリデーション後に矛盾がない場合にはそのまま増分を実行するようになりました。
オフサイトコンソリデーションは、レプリケーション先のイメージファイルに対してコンソリデーションを行う機能です。この場合、保存した元のバックアップイメージとレプリケーション先のイメージの整合性が問題になります。AIPではいまのところプロセス間の通信や情報の共有はサポートしていないため制約付でオフサイトコンソリデーションを許可する形になっています。オフサイトコンソリデーションを許可すると以下条件に制約されます
- ソース(元のバックアップイメージファイル)に対してコンソリデーションを含む変更を伴うイメージ操作はできません
- レプリケーションオプションは最新のファイルのみを対象にする
オフサイトコンソリデーション後に新しい増分ファイルがレプリケーションされると、以前のバージョンのようにファイル名は連番になりませんが問題なく復元できます。オフサイトコンソリデーションを使うことでレプリケーション先のイメージファイルを常に最少のファイル数にしておくことが可能です。
SP5へはアップデートページから行えます。