セイバーメトリックス

前回のブログでは 1億円になるかもしれない(?)ベースボールカードを紹介 しましたが、今回はベースボールに興味がなくても、興味が出てくる斜め上の方からのベースボールの見方をご紹介します。ベースボールは選手の能力を数値化してみれるスポーツです。
あまりベースボールに興味のない人でも、打者がどれだけ優秀かを表す打率など数字で表されるのはご存知かと思います。打率とは単純に打った回数(打数)のうちヒットになった割合を計算したもので、打率が.300なら100回の打数の時に30本をヒットにした事になります。長年の統計によって、優秀な打者の目安とされているのが、この打率.300です。優秀な打者でも100回のうち70回もアウトになってしまうんですよ。

打率は打者の為の数値ですが投手なら1試合(9回)を投げた時に失点する点数(防御率:失点/投球回*9)、1試合(9回)を投げた時に奪える三振の数(奪三振率:奪った三振数/投球回*9)などなどがあります。他にも打者が打ってから一塁へ到達するまでの平均秒数だったり、盗塁の成功率だったり、良くヒットを打つ打者、早く走る走者、点数を取られない投手が数値で表されます。
しかし、ヒットを良く打つ打者は本当に良い打者でしょうか?ヒットを打たなくても四死球を得る事で出塁する事ができます。そうすると出塁率(打席数/出塁数)が上がります。ヒットを1本も打たなくても出塁率.800だったら、かなりチームへ貢献できます。このように有名な打率や防御率などの以外の珍しい指標によって、その選手の隠れた能力を数値化して証明しようとするのがセイバーメトリクスです。

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セイバーメトリクスはベースボールと言うよりは、もう数字遊びや統計と言った方が正しい位で、ベースボールの変わった見方です。見方が変過ぎて、怒る人さえも居ます。ベースボールはアウトにならなければ攻撃し続けられるスポーツです。つまりアウトになる率の低い人から打っていけば一番長く攻撃できる確率が高くなります。(点数が入るかどうかは別として)セイバーメトリクス的には・・・。でも、この指標だけで打順を決める監督は見た事がありません。つまり、セイバーメトリクス的に正しくてもベースボール的には正しくない訳です。セイバーメトリクス嫌いな人は「ベースボールは人間のやるスポーツ。数字など当てにはならない」と言う訳です。セイバーメトリクスに少しでも興味が出てきたらメジャーリーグならESPNや日本プロ野球ならスポーツナビなどを見ると色々な指標が見れますので、数字だけで選手を知るのも興味深いものがあります。

例えば日本プロ野球からメジャーリーグへ移籍して大活躍している上原投手が居ます。この人は試合を見ただけでは、なかなか能力が分かり難い人です。体が大きい訳ではない。早いボールを投げる訳でもない。たくさんの変化球を投げられないので打者を惑わすような投球もしない。しかし、大活躍してしまうんですね。球速表示では速くもないボールにメジャーリーグの優秀な打者がバカみたいに空振りしてしまうんです。
この上原投手の良さはセイバーメトリクス的には一目瞭然です。それはK/BB(奪三振数/与四死球数)と言う指標に表れます。防御率や勝利数は投手自身以外にも守備するチームメイト、相手チームから得点を取ってくれたチームメイトなど関わる人が多くいます。つまり投手自身の能力だけを数値化している訳ではありません。しかし奪三振、与四死球は投手以外の能力の影響を受け難いので投手だけの能力を測りやすい数値です。さらに三振が多く、四死球が少ないと言う事は「制球が良い」と言う事になります。統計上はK/BBが3.50を上回れば制球の良い投手として認識されますが、上原選手の場合はメジャーの全成績だと驚異の7.69です!!! 上原選手は1年間に50試合ほどに投げます。1試合で3人から5人ほどと対戦する事になりますが、その1年間で平均7.8個しか四死球を与えません。普通の投手なら18イニングを投げて与えてしまう四死球数です。もう、打者からすれば、ほぼストライクしか来ない位の感覚でしょう。

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最近は球場にセンサーが付いていて投手の投げる球速以外にも回転数、変化した高さと長さ、投げ始めた時の球速に、捕手へ届いた時の球速まで計測されます。上原選手はボールを投げる位置が打者から遠く、投げ始めから終わるまでの時間が短く、ボールの回転数が多く、捕手へ届いた時の球速が投げ始めの球速から減速しないのも特徴です。打者の感覚的には打とうと思った時には全てにおいてタイミングが遅れてしまうようになります。投げ始めたと思ったら、すぐにボールが来て、さらに思っていた以上に速く自分へ迫ってくる。ドンドンとストライクが来るのでボールを見送る機会も少なく、少し落ち着く間もなく気が付いたら3ストライク取られてしまうのがパターンです。

試合を見ていなくても、成績表を見ているだけでベースボールが楽しくなってくるセイバーメトリクス。あまりベースボール好きではないけど、プログラミングや統計学に興味のある方は是非、詳しくセイバーメトリクスを調べてみてください。