ActiveImage Protector 3.0の新機能
ActiveImage 3.0が 5月10日に発売されました。
少し時間が経ってしまいましたが、新機能の解説をしていこうと思います。
3.0で追加された主な機能
3.0で追加された主な機能は以下のものがあります。
- 劣化し始めたディスクでもバックアップできる不良セクタースキップ機能
- 節電/停電対策に有効なシャットダウン時の自動増分バックアップ機能
- I/O、ネットワークに対するダイナミック・スロットリング機能
- uEFIマザーボードの全てのGPTボリューム(起動、システム、論理)サポート
各機能の概要はActiveImageのページを参照してもらうとして、ここでは想定している場面や技術的な話を解説したいと思います。
不良セクタースキップ機能
不良セクタ、いわゆるバッドセクターはハードディスクに発生する物理的なエラーです。読み書きのできないセクターであり、フォーマットやチェックディスクの表面検査等で発見された時はアクセス出来ないセクターとしてマークされます。しかし、ハードディスクも生身の機械ですから、使用中に突然あるセクターが昇天してしまうことがあります。大抵の場合、どこのセクターが壊れたのかわからないですし、どのファイルに使われているのか使われていないのかもわかりません。そうしてまた別のセクターが壊れて、ある日ハードディスクが壊れた、という事態になります。
そうなる前にバックアップをしておけ、というのは簡単ですが、それは置いておいて、ハードディスクが全部壊れたわけではないのだから無事なデーターだけでもなんとか救いたい、と思うのが人情でしょう。しかし、エラーが出始めるとエラーリトライが多発するためものすごく時間がかかりますし、ディスクイメージングソフト(ActiveImage Protectorのような)で全体のバックアップをとろうにも、リードエラーを起こしてしまうため、バックアップそのものが失敗してしまいます。
そこで、この不良セクタースキップ機能を使えば、リードエラーを起こしても無視してバックアップを取りつづけます。一度イメージファイルにしてしまえば、あとは不良セクターは関係なくなるので、個別にファイルを取り出すことも可能になります。もちろん不良セクター部分を修復するような魔法はありませんが、それ以外は取り戻すことができるわけです。
シャットダウン時の自動増分バックアップ機能
いわゆるイベントをトリガーとしたバックアップ起動です。トリガーとして使えるイベントというのなら、シャットダウン時だけではなくいろいろあるじゃないか、と言われそうですが、3.0ではシャットダウン時のイベントのみを実装しました。
ご想像の通り、震災対策からの節電推奨という流れで、「退社時にはPCをシャットダウンして帰るように」というお触れが出始めたのがきっかけです。PCが壊れるのは電源切る時と入れる時だと言いますしね。
ActiveImageでは、プロファイルとスケジュールを別々に作成、管理しているため柔軟な設定ができるようになっています。 プロファイルには、どのボリュームをどこに、どんな圧縮で保存するのか、というようなバックアップを実行するための設定を保存しています。スケジュールはスケジュールが来たら、あらかじめ指定したプロファイルに基づいてバックアップを行うわけです。このような形を取っているので、新しくシャットダウンイベントへの対応する、という場合でも比較的簡単に実装することができます。
I/O、ネットワークに対するダイナミック・スロットリング機能
ActiveImage 3.0では、タスクのリソースを調整することができるようになりました。バックアップはどちらかというとリソース食いのソフトウェアなので、バックアップ中はどうしても他のタスクに影響がでます。できれば、夜中など、あまり忙しくない時間帯に行えればよいのですが、都合よくいかないものです。バックアップの保存先がネットワークの先にある場合、ネットワークの負荷も考慮する必要がでてきます。
この機能で、システムのリソースを効率的に割り振ることができます。スロットリングでタスク全体の動作を調整します。タスク優先度は他のタスクが動いてないときはリソースをフルに使い、他のタスクが動いているときはリソースをあまり使わないように設定します。ネットワーク帯域設定で、ネットワークへの負荷を調整します。
uEFIマザーボードの全てのGPTボリューム(起動、システム、論理)サポート
従来のMBR方式の限界2TBの壁を乗り越えるために導入されたuEFIとGPTボリュームに対応しました。今年になって出荷時の設定がGPTになっているサーバーも増えてきたようで、現場でいつのまにかGPTでした、ということも起きているそうです。起動ボリュームのディスクはMBRだけど、データー用はGPTという場合もあります。
他にも、仮想環境の対応強化、Red Hat Enterprise Linux 6への対応などがあります。
3.0では、UIなどの大きな変更はありませんでしたが、コアに近いレベルでの新機能、改善が多いのが特長です。