ActiveImage Protector(AIP)トラブルシュート その3 パイプラインエラーとプラットフォームエラー等

ActiveImage Protector でバックアップ運用中にトラブルシュートが発生した場合、行うアクションは複数あります。調査依頼を頂く際には、基本的にはサポート情報があれば、何が起きているかある程度の類推が立てられます。
*全てがそうとは限りません。エラーの原因究明が困難の場合には、サポート情報をご提供頂き、調査が必要になります。

エラーコードを公開しているのでご参照ください。

今回は -701 と -999ついて取り上げます。エラーは下記を意味します。

-701 : パイプラインエラー
-999:予期しないPlatformのエラー

-701は、AIPがパイプライン処理でデータを読み書き中にエラーが発生している状況で、環境に依存し発生することが多いです。また、バックアップ対象/保存先/転送中のデータ に依存するため、トラブルシュートの調査範囲が非常に広いエラーです。

AIP側で確認されている現象の一部はナレッジで公開されています。

1)重複排除バックアップ時に ERROR: 9999 が発生することがある

この現象は、最新版にしてもエラーが解消できない場合があります。その場合は、記事2)にございます、重複排除から標準圧縮を使用してバックアップを実施下さい。

2)バックアップを実行すると例外エラー 0xc000001d が発生し Exit Code -701でエラーとなる

この現象は、特定の環境のCPUに依存します。
システム情報を見ると、プロセッサがIntel Xeon Gold/Silver/Bronze と表示されます。

AIP2016 は古い製品で、製品のライフサイクル上、サポートが終了しているため、条件が合致した場合は、記事の通りの現象が発生しますので、AIP2018以降にアップデートをお願いします。

-999エラーは、予期しないWindows/Linuxエラーです。これはシステムの何らかのエラーに基づき発生しますが、ActiveImage Protector側に依存した要因もございます。例えば、AIP 2018 update6では、初回が増分タスク動作の場合にこのエラーコードで失敗します。

AIP2018 update7の初期バージョンにおいて、大容量ボリュームの増分バックアップが正常に行えず、ファイルを分割していないにもかかわらず、分割ファイルを求められる場合にも、-999エラーが発生するという現象が確認されています。

AIP2018 update7 のAIPコンソールメニュー、[ヘルプ]>[バージョン情報]の製品情報において、エージェントバージョン/コンソールバージョンが5.1.11.6500以下の場合は、アップデートをお願いします。導入時に発生していなくても、運用し続けていると増分の取りこぼしが発生する可能性が高まります。
また、この初期バージョンでWinPEの起動環境を作成し使用した場合に、OEMパーティションの後方にあるようなGUIDが付いていないパーティションを含むバックアップが-999エラーで失敗する場合があるため、アップデート後に起動環境の作成し直しもお願いします。

アップデータ
(パッチ適用後)
製品バージョン               :5.1.11.6326
エージェントバージョン:5.1.11.6665
コンソールバージョン    :5.1.11.6665

尚、その他のエラーについて、エラーコード一覧の記事の内容だけである程度判断できるものもあります。

例)
1) -702
イメージ保存先の空きが不足している状態です。空きを確保することで解決が可能です。

2) -403
保存先を参照できない状況です。既存のタスクを編集して、保存先への参照ができるかを確認して下さい。保存先がネットワークの場合、こちらの記事が参照頂ける場合があります。

3) -321
このエラーの前提として、AIPのタスクの高度な設定にて、スナップショットの作成前後/イメージ作成後 に、お客様側で作成されたスクリプトを設定しています。

ここで設定したスクリプトが正常に完了していない場合(errorlevelが0以外を返している場合)に発生するエラーコードで、バックアップはエラーになります。

確認としては、管理者権限でスクリプトを実行し、その後に echo %errorlevel% で正常に完了していれば 0となります。それ以外が出力された場合、 AIPでタスク実行時、エラー-321が発生します。

問題がなければ、AIPの「2 保存先の指定」タスク作成>高度な設定 — スクリプト に、作成したバッチを改めて実装します。尚、-321は、スクリプトのタイムアウトの時間に達しても発生します。VSSスナップショットの一時ファイル保持等の都合上、タイムアウトの設定の最大値は60分(デフォルト30分)で設計されておりますので、処理に時間のかかる内容はお控え下さい。また、対話形式の処理が含まれているものは停止せず処理するように設計下さい。

この機能に関して、タスクの動作時に常に全てのスクリプトを実行したい場合は、スクリプト設定画面の「タスクの実行エラー時でも指定したスクリプトを全て実行する」のチェックをオンにして下さい。この機能がオンの場合、スクリプト処理やバックアップが失敗したとしても、その後に動作予定のスクリプトは強制的に動作させます。オフの場合は動作しません。例えば、「スナップショット実行前に実行するスクリプト」が失敗した場合や、スクリプトが正常処理した後にVSSスナップショットの作成が失敗した場合、その後のスクリプトは動作しません。ただし、VSSスナップショットの作成失敗の場合は、エラーコードは -321ではなく、VSSのエラー-311になります。

但し、AIP2022では、この機能に関して仕様通りに動作しない不具合があります。
Windows版の場合は、製品プログラム/パッチの「Windows用6.5.0.7616+アップデートパッチ 22.09.08.01」を適用しご利用ください。

Linux版の場合は、製品プログラム/パッチの「Linux用 6.5.0.7613 +アップデートパッチ 2207251652」を適用しご利用ください。

また、スクリプトの内容について、導入当初に問題がなくても、AIPに依存せず、環境の状況に依存しエラーが発生する場合があります。その場合は、手動でのスクリプト動作確認を行い、正常動作できるようにメンテナンスしてください。

最後になりますが、Linux版のエラーコードはWindows版と共通のため、原則としてWindows版と同じような考え方を用いたトラブルシュートが必要となります。しかし、スナップショットのエラーについてはWindows版と異なります。こちらに関してナレッジが幾つか公開されています。

Linux版の Exit -312のトラブルシュート

SLES/openSUSEを利用する際の注意点

yum update 後、バックアップが exit code -312 で失敗する

基本的には上記のような現象の調査において、AIPのタスクログ、システムの構成、lsmodコマンドを用いることにより、スナップショットドライバーのロード可否の状況や、Linuxシステムログを参照し、ある程度の類推を立てることは可能です。

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