システム要件を満たさないメモリ割り当ての起動環境で復元がエラーになった話

先日、お客様からの問い合わせで、バックアップは全く問題は無いが、Windowsベースの起動環境で起動し復元すると必ずエラーになる、という問い合わせがありました。

復元のログは、必ず下記で停止していました。

06/26/2024 07:57:06.489 Pipeline end, exit code: 0
06/26/2024 07:57:06.490 Restore volume 0 done
06/26/2024 07:57:06.494 Pipeline start
06/26/2024 07:57:06.495 OOOW: Yes
→ログの停止

内容を聞く限り操作は全く問題は無く、開発に問い合わせると、起動環境のメモリ割り当てが少ない(2GB)なので増やしてから起動環境で復元してください、ということでした。

結果として、メモリを3GBに割り当てて起動環境を使用することで問題は解決しました。
確かにシステム要件としては、Windowsベースの起動環境は4GB以上となっています。

Actiphy Boot Environment (Windows PE / RE)
メイン メモリ:4GB以上(8GB以上を推奨)

そこで、要件を満たさないパターンのテストは行ったことが無いため調査したところ、確かに全く同じ現象の発生を確認することが可能でした。

テストは下記のプログラムを使用。
Boot Environment Builder バージョン 1.0.7.885

調査方法として、まず、Hyper-Vの仮想メモリを1024MBに割り当てた仮想ゲストから起動環境の起動を試みると、下記2種類のメッセージが順番に表示され、起動環境の起動することができませんでした。


次に、Hyper-Vの仮想メモリを1600MBにして仮想ゲストから起動環境の起動を試みると、起動環境で起動しました。

続いて、イメージからの復元を試みると、27.3%ほど処理はしましたが、エラーとなりました。ログの停止状況は、お問い合わせのあったお客様と同じ個所でした。

07/05/2024 07:55:23.719 Pipeline end, exit code: 0
07/05/2024 07:55:23.720 Restore volume 0 done
07/05/2024 07:55:23.724 Pipeline start
07/05/2024 07:55:23.724 OOOW: Yes
→ログの停止

次に、Hyper-Vの仮想メモリを2048MBにして仮想ゲストから起動環境の起動を試み、イメージの復元を試みると成功しました。

検証の結果、仮想メモリの割り当てが小さすぎることで、今回の現象が発生することを再現することができました。

起動環境でのサポート情報収集手順は下記のナレッジをご参照ください。
AIP Windows版 サポート情報収集手順

実際の作業環境があれば目視でメモリサイズは確認可能ですが、サポート情報では、ルートにあるserviceinfo.txtで、RAMのサイズ(バイト)が確認できます。

serviceinfo.txt
RAM Size:           2146373632

元の環境と同じ環境へ復元する場合はこの状況に陥ることはございませんが、仮想環境で上書きをせず復元を行う、といったケースでは、復元先の仮想ゲストに割り当てるメモリサイズは、ActiveImage Protectorの起動環境のシステム要件を満たす値を設定し使用頂くことを強く推奨します。

Support T.