SHR―Seamless Hot Restoreとは?

Seamless Hot Restore(SHR)は復元するまで仮想マシンを使えない、言い換えると仮想マシンの復元時間によるダウンタイムをなくすことができる機能です。

バックアップはHyper-VホストのボリュームをAIPと同じイメージングバックアップを行います。イメージングバックアップですので仮想マシン、仮想ディスクすべてを含んだ状態でのバックアップが作成できます。もちろんスケジュールも増分も可能です。ここまでは通常のAIPと同じです。違うのはリストアの方法です。

以前のバージョンにも、for Hyper-Vには保存したホスト全体のバックアップイメージから個別に仮想マシンを選択して復元するReZoom機能が搭載されています。イメージファイル内にある仮想マシンがリストアップされるので、復元したい仮想マシンを指定すると、仮想マシンと関連ファイルがコピーされHyper-Vマネージャに登録されます。復元完了後、ユーザーはHyper-Vマネージャから仮想マシンを起動できる、という具合でした。つまり、ReZoomは静的に仮想マシンを復元するわけです。

仮想マシンのトラブル → イメージファイルからReZoomで仮想マシンを復元 → 復元完了 → 起動

という具合です。ReZoomは仮想マシンの復元時にとても便利な機能なのですが、実際にReZoomを行うと数百GBのファイルコピーになりますのでその時間は馬鹿になりません。仮想マシンが元の形に復元されなければ起動は当然できませんから、その間はなにもすることができませんし、仮に外部から接続される仮想サーバーであったら、その間はサービスは停止することになります。この待ち時間をなくしてしまおうというのがSeamless Hot Restore(SHR)です。

仮想マシンのトラブル → イメージファイルからReZoomで仮想マシンを → 起動

になるわけです。

SHRでは、復元の開始と同時に仮想マシンを起動できます。ReZoomは復元が完了するまではマシンの起動ができなかったのに対して、SHRはシームレス仮想マシンという形で先にイメージファイル内の仮想マシンを起動してしまいます。普通に元の仮想マシンが起動している状態ですので運用を開始できます。仮想マシンの復元完了までの時間を待つ必要がなくなり、その分のダウンタイムをなくすことができます。

ReZoomとSHR

ReZoomとSHR

シームレス仮想マシンで運用している間、同時にバックグラウンドではReZoomが復元を行っています。その間、シームレス仮想マシンでは運用し続けているので、その仮想ディスクにも刻々と変更が加えられています。ReZoomによる復元が完了すると、復元が完了した仮想マシンに切り替えて運用を再開することができます。この時シームレス仮想マシン上で行われたディスクの変更だけでなくメモリも含んだ設定を引き継いで、そのまま運用を継続できます。実際には切り替え時に仮想マシンが一時停止(保存状態)になり、すぐに(1分程度)再開して運用を再開します。注意してほしいのは、再起動ではなく、仮想マシンの停止ですので作業中のものはすべて保存されており、シームレス仮想マシン上で行われた作業はなにも失いません。たとえば、WordやExcelでなにか編集をしていて、ウィンドウを開いたまま、保存をしていない状態で切り替えても、再開後にそこから作業を再開できます。メールサーバーとして運用していて、シームレス仮想マシンが正しく受け取ったメールはそのまま引き継がれます。

SHRのしくみ

SHRのしくみ

ReZoomの復元先は同じHyper-Vホストでなくても可能ですので、ホストそのものに障害が起きた場合でも、他のHyper-Vホストに優先的に復旧したい仮想マシンをSHRで復元することでダウンタイムを減らすことができます。

SHR機能はActiveImage Protector for Hyper-V with SHRfor Hyper-V Enterprise に搭載されています。

with SHRは仮想マシンの保護にフォーカスして機能、価格を絞った新製品です。小規模なHyper-V環境でクラスタやHAの構築するほどではない、あるいは費用がかさむので導入できず仮想マシンの保護ができていない場合には、低コストで仮想マシンのダウンタイム削減が可能なりますので、特にお勧めします。

ActiveImage Protector 3.5 SP2 について


ActiveImage Protector 3.5 (以下AIP)のSP2をリリースしました。

詳しくはニュースリリースをご覧いただくとして、主な修正はWindows 8、Windows Server 2012 への対応です。Windows Server 2012 対応~と言葉にしてしまうとあっさりしていますが、内容はなかなか濃いものになっています。単に以前からの機能が動作するというだけでなく、以下のWindowsの新機能にも対応しました。

真面目に対応したため、メジャーアップグレード並の修正量になってしまいました。

ReFS(Resilient File System)対応

ReFSは新しく採用された整合性、可用性、スケーラビリティを高めたファイルシステムです。AIPではReFSボリュームのフルバックアップと差分バックアップの作成/リストアが可能です。現バージョンでは増分はできません。スケジュールは差分バックアップになります。

CSVFS対応

CSVFSは以前のクラスター共有ボリュームCSV(Cluster Shared Volume)を一貫性のある一つの名前空間として扱えるようにした新しい機能です。AIPではCSVFSボリュームのフルバックアップ、差分バックアップが可能です。現バージョンでは増分はできません。スケジュールは差分バックアップになります。

記憶域対応

ストレージプールに作成した仮想ディスク(スペース)のバックアップ/リストアが可能です。もちろんイメージファイルの保存先として使用することもできます。

4Kセクター対応

セクターサイズが4Kのハードディスクに対応しました。いままでのハードディスクは1セクターサイズが512バイトが前提でしたが、大容量のハードディスクのためにセクターサイズ4Kのものが出てきています。いまのところ物理セクターは4Kでもハードディスク側でエミュレーションしたり、Windowsも対応していませんでしたが、Windows Server 2012/8からネイティブに4Kセクターを扱えるようになります。今回のアップデートでAIPも4Kセクターを扱えるようになりました。

SP2の細かい話

一番大きな変更は4Kセクターへの対応です。この変更が必須になったのは記憶域への対応でした。記憶域といってもアクセス自体は仮想ディスクなので当初は軽く見ていたのですが、調べてみると仮想ディスクは4Kセクターのディスクとして作成されることがわかりました。
AIPも含めて多くのハードディスク関係のアプリケーションは1セクター512バイトであることを暗黙の了解として使用していました。もちろんセクターサイズの情報は昔から存在しており512以外の値になる可能性はあったのですが今まで変更されたことはなかったのでコードの多くの場所で512を決め打ちで使っていました。
今のところ、物理ディスクで4Kセクターネイティブのみというものは市場でほとんど出回っていないので対応は次のバージョンでも間に合うかなと考えていたのですが、ストレージスペースでこの問題が浮上してきたのです。また、AIPではパフォーマンスを内部的に調整するためにI/O関係のパラメータを細かく設定できるようになっているのですが、現在のパフォーマンス設定だとうまく保存もできない、設定を変更して保存できるようにしてもパフォーマンスが出ない場合があることがわかりました。
4Kセクターサイズで正しく動作するようにする変更自体は、やることが決まっているので大して難しくないのですが、修正する場所がコード全体に散らばっているため全て探して潰していく必要があります。この作業はそれなりの時間がかかります。ですが、せっかくストレージスペースがあるのにイメージファイルを保存できないのはやはりよろしくないので今回のSP2で修正を含めることにしました。その結果、4Kセクター(4Kだけでなく他の512以外のサイズにも対応しています)、ストレージスペースに対応できました。

次に力を入れたのはCSVFSの対応です。2008R2ではCSV―クラスター間での共有ボリュームがありました。このCSVは主にHyper-Vの仮想マシンのストアを目的としていたものでした。これはNTFSボリュームそのものだったので、以前のAIPではバックアップ自体は可能でしたがオーナーノードからのみバックアップが可能で、また、すべてのノード間で整合性をとったバックアップはできませんでした。どういうことかというと、オーナーノード以外で動いていた仮想マシン(の設定と仮想ディスクファイル)は電源強制断の状態でバックアップされてしまうということです。正しくバックアップを作成するには仮想マシンを正常にシャットダウンしてから、ということでした。
2012からは新しくCSVFSとして別のファイルシステムとして認識されるようになりました。それに合わせてVSSのスナップショットも拡張され、他のノードに対してもスナップショットの取得が通知されるようになり、どのノードからでも正しいバックアップが作成可能になりました。 今回のSP2ではこの拡張に対応してCSVFSのバックアップを期待した形で作成することができるようになりました。

このように、今回のSP2ではハードディスク関係、I/O関係、スナップショット(VSS)とコアな部分を見直して機能を強化し、過去からの不具合の修正も多数行っています。

ActiveImage Protector のコマンドライン機能

ActiveImage Protector(以下AIP)にはWindows版、Linux版両方にコマンドライン版が用意されています。

インストールフォルダを見るとaipcontrol.exe(Windows 版の場合)というファイルがあります。これがコマンドライン版の実行ファイルです。

コマンドプロンプトを起動して、aipcontrol を実行すると

C:\Program Files\ActiveImage Protector Desktop>aipcontrol
ActiveImage Protector Control [Version 3.5.1.980]
..........
"help" を入力するとコマンドの一覧を参照することができます。終了するには "exit" を入力します
>

とコマンド入力待ちになります。この状態は対話型でAIPの機能を使うことができます。
ここで help と入力すると、コマンドのリストが表示されますのでバックスクロール 等で確認してください。

また、コマンドライン上で直接 aipcontrol help と入力しても同じ内容のヘルプが表示されます。

C:\Program Files\ActiveImage Protector Desktop>aipcontrol help | more
ActiveImage Protector Control [Version 3.5.4.980]

Info Commands:
    diskinfo
        Displays disk and volume information.
    serviceinfo
        Displays information on the AIP service.
    config <setting>[<value>]
        Gets or sets Service configuration settings.
        Enter "config *" for all settings.
        Use "" for the empty value.
        Enter "config TestMail" to send a test message.

Remote Control Commands:
 remote ipv4address port password*[WinAccount]

…以下略

aipcontrol では、GUI版のAIPで行えるほとんどのことができます。
AIPは、サービスとして動作している “aipservice” がGUIやCLI(今回のaipcontrol)とやり取りを行なって機能を実現しています。GUIも各々の機能を、個別のコマンドに分解してサービスに送っていますので、当然CLIでも同様の機能を実行できるわけです。プロファイルの作成、スケジュールの作成、バックアップの作成の他、イメージファイルの操作であるコンソリデーション等も行うことができます。

たとえば、コンソリデーションは以下のような指定になります。

consolidate is to merge several INC images to one INC image,
a new INC image file will be created, the original files will be renamed or deleted.

consolidate  n1-n2 [pw:] [delOriginal] [createMD5|autoDecidedMD5]
        Ex: consolidate C:\Test.aiv 3-5  pw:abc delOriginal createMD5
            consolidate c:\Test.aiv 5-25 pw:mypassword

このCLIを使用することでAIP単体だけでは実現が難しいタスクを、他のツールやコマンドファイル、シェルスクリプトの制御構造を利用して実現できます。たとえばバックアップのファイルスタンプをみてコンソリデーションを行なってその結果を外部のストレージに転送、といったことや、自社の管理コンソールと合わせて組み込みコマンドのようにAIPのバックアップを使用することができます。

GUIと違ってコマンド指定を全て行う必要があるので敷居は決して低くはないですが、使えると応用範囲が広がります。

ActiveImage Protector 3.5 SP1

ActiveImage Protector 3.5 SP1 をリリースしました。

SPですので、主な配布目的は最初のマスターからの累積的な不具合の修正ですが、追加機能として、Windows PE 3.1 の64bit版をベースにした復元環境を追加しました。

ActiveImage Protector(以下AIP) には、ベアメタルリカバリ時に使用するための復元環境があります。この復元環境はCD(DVD)から起動することで、ハードディスクにOSがなにも入っていなくてもリカバリーを行うためものなのですが、今回のSP1でAIPには似たような復元環境が3種類もあることになります。

3種類といっても、どれもPEベースで、PE2005 、PE 3.1(32bit)と今回追加されたPE 3.1 (64bit)です。実際の運用では9割以上は現行のPE3.1(32bit)でカバーできます。

ではなぜ他のPEが必要なのでしょうか? デバイス・ドライバーの問題です。

まずPE2005については、AIPはWindows 2000 Serverもサポート対象にしていますが、Windows 2000が現役だった頃のPE 2005でしか提供されていないストレージやネットワークのドライバがあるのです。そのためPE3.1で起動しても対応するドライバーが存在しないためストレージもネットワークも見えない、という事態がおこります。また、Windows 2000が稼働しているようなマシンはハードウェアが貧弱であることが多いため、PE 3.1の稼働要件(主にメモリ)を満たせない場合もあります。

同様に、最近になって、一部のハイエンドサーバー製品などで、64bit版のドライバしか存在しないためにPE 32bitが使えない、デバイスが見えないという状況も報告されるようになってきました。そのため、PE 64bit版を使った復元環境を提供することになったのです。

単純に64bit版といっても、通常のWindowsの64bit版であれば32bitのプログラムもうまく動くようによろしくやってくれるのですが、PE 64bit版上では純粋に64bitのプログラムでなくては動作しません。そのため必要なものは全て64bit化してあります。また、3つもPEが入っているので、CDには収まらずDVDになってしまいました。

このようにActiveImage Protector は日々進化を続けていますので、今後も期待してください。

ActiveImage Protector 3.1 SP2

ActiveImage Protector 3.1 のSP2をリリースしました。

ActiveImage Protector 3.1のSP2をリリースしました。サービスパックですので既知の問題の修正が主ですが、追加された機能もいくつかあります。

主な追加機能は、

  • コンソリデーションでベースも結合可能
  • スマートコンソリデーション/ユニファイ
  • サービスの状態監視機能
  • タスクトレイアイコンの追加
  • オフサイトレプリケーションのパフォーマンス設定
  • フルバックアップのみの保有ポリシーの設定
  • メール通知のSSL/TLSの対応
  • Linux版にQuick P2V機能を追加

です。

コンソリデーションでベースも結合可能

コンソリデーションは増分バックアップファイルを結合して見通しをよくするための機能です。前バージョンでは最初のバックアップ=ベースファイル(フルバックアップ)は結合の対象からはずしていました。これはベースファイルはフルバックアップなので、サイズが大きいため結合すると時間もかかり、コンソリデート後のファイルを削除しない設定を選んだ場合には保存容量も大きく、またベースファイルはバックアップの大元ですので、できれば手を付けないほうが安全、という理由からです。結合後は最低でもベースファイルと結合した増分ファイルの2つのファイルになります。通常はこちらがおすすめなのですが、やはり最新のバックアップを1つにまとめておきたい、という要望もある程度寄せられましたので、ベースも含められるように変更しました。
この変更を行うと、別機能で実装しているユニファイとどこが違うのか?という疑問が出てきます。コンソリデーションは増分バックアップを継続しつつ増えたファイルを結合してまた増分を継続していきます。一方、ユニファイはベースも含めて全て統合して、その時点のフルバックアップとして別名で保存を行うというものです。コンソリデーションは増分バックアップを継続しながらバックアップファイルの整理、ユニファイは最新のバックアップを別の場所にアーカイブしておくと考えてもらうとわかりやすいと思います。

スマートコンソリデーション/ユニファイ

スマートコンソリデーション/ユニファイは結合後のファイルを最適化します。これまでは削除されたブロックもそのまま結合していました。スマートコンソリデーションでは結合後に存在しないはずのブロックは削除されるようになりました。
どういうことかというと、ベース作成後、1Gのファイルを作成、増分を作成、さきほど作成した1Gのファイルを削除して、再度増分バックアップ、そしてこの2つの増分を結合した場合には、増分ファイルのサイズはゼロ(実際はその他のデータのあるのでゼロにはなりませんが)になっていて欲しいという要望に応えたものです。前のバージョンでは変更を全て保存していたのでファイル数は減ってもサイズは変わらず、途中に戻れるわけでもなかったので、より実用的な仕様になりました。

サービスの状態監視機能

今回のバージョンからサービスが停止した場合、サービスの再起動を試み、結果をメールで通知できるようになりました。ActiveImage Protector のコアサービスaipservice は常駐してバックアップタスクやスケジュールをコントロールしています。なんらかの原因でaipserviceが停止してしまうと期待していたバックアップがとれなくなってしまいます。そして、モノがサービスだけに止まってしまったことに気がつかないことがあります。予期しないサービスの停止が起こってしまう場合、その原因そのものは環境依存であることが多く特定するのはなかなか難しい作業ですが、少なくともサービスが止まってしまったら管理者はその事態を把握しておくことができるようになります。

タスクトレイアイコンの追加/オフサイトレプリケーションのパフォーマンス設定

バックアップやオフサイトレプリケーションを実行しているときにタスクトレイにアイコンを表示するようにしました。ここからレプリケーションの優先度の変更なども起動できるようになっています。その他、コンソールの表示、シャットダウン時のイメージ作成など従来の機能も引き続き使用できます。

トレイアイコン

トレイアイコン

フルバックアップのみの保有ポリシーの設定

ActiveImageでは、ベースイメージファイルとそれに連なる増分バックアップファイルをまとめてイメージセットという形で世代の管理を行なっています。保有ポリシーはこの世代ごとにいくつまで保存しておくかを指定して古いものから自動的に削除して保存先の容量を確保する機能です。今回の修正でフルバックアップのみも一世代として扱い保有ポリシーを設定できるようにしました。

メール通知のSSL/TLSの対応

AIPにはバックアップ完了時や障害時にメールによる通知機能があります。従来は単純なSMTPのみの対応でしたが、SSL/TLSが必須のメールサーバーも使えるようにしました。また、AIPエージェントの異常終了時の通知も可能にしました。

通知設定

通知設定

Linux版SP2にQuick P2V機能を追加

Linux版もSP2になりました。新機能としては、Linux(Red Hat Enterprise Linux 4-6)でのP2V機能を実現するQuick P2V機能を搭載しました。Quick P2Vを有効にすると、バックアップ時に必要な設定を適用したイメージファイルを作成します。あとは仮想マシンに復元すれば起動してきます。Windows版のP2Vでは一度イメージを作成したあとに、各々の仮想環境に合わせた仮想ディスクに変換するか、AIRを仕掛けて復元しています。AIRを使った仕組みと似た方法を復元時ではなくバックアップ時に行なっているところが“Quick”の由来です。Linux版にはWindows版のような形のP2Vはありません。

ActiveImage Protector Technical Preview版の重複排除圧縮とは?

ActiveImage Protector v3.5  Technical Preview版

10/21に開かれたvForum 2011でActiveImage Protector v3.5 の Technical Preview版を展示しました。TP版の目玉は重複排除圧縮機能です。重複排除あるいは重複削除は、最近ストレージに搭載されて話題になっている機能です。この重複排除をバックアップファイルに対して行い圧縮して保存容量の削減をねらうのがAIPの「重複排除圧縮」です。複数の仮想ディスクやサービスパックのロールバック用ファイルなど重複するデーターは意外に沢山あります。

重複排除とは?

「重複排除」は言葉通り、重複したものを排除して保存しない、ということです。では、なにをもって重複とみなし、どうやって排除するのでしょうか?一番簡単な例としては、AIPにはありませんが、重複ファイル削除という機能でしょう。ファイル名やファイルの内容を比較して同じものを見つけたらどちらかを削除する、というものです。Windowsのクリーンナップやパフォーマンスアップユーティリティによく搭載されています。単にだぶっているファイルを削除するだけですので、本当に必要かどうかはユーザーの管理になりますし、間違って消してしまったときに元に戻すのは、元の場所にコピーするだけとはいえ、元の場所を確認したりと案外手間がかかります。

次に、バックアップでの重複排除があります。まず、ファイル単位で、バックアップアップ時に重複しているファイルはリンクなどに置き換えて、復元時には自動的に元に戻す、というものです。

もうすこし高度なものになると、各ファイル内の重複している部分(ブロック)を較べて、同じ内容のブロックがあればFinger Printをつけてインデックス化して行きます。こうすることで、同じFPを持っているブロックは同じ内容ということがわかるのでバックアップ対象から排除、あるいは削除できます。これと同様のことをストレージ上で行えば、重複排除機能付のストレージということになります。ストレージにファイルを保存する時にFPをつけて既に保存してあるファイルのものと比較して重複排除を行うわけです。

そして、ストレージ、メディアサーバーベースの重複排除があります。これは、バックアップをしたものに対して既存のバックアップファイルとの比較をする「ポストプロセス」で行うのが通常です。最終的には容量は削減できますが、重複排除を処理する時間とバックアップファイルのための容量(比較先と比較元)が一時的に必要になります。保存時に重複排除を「インライン」で行えるストレージはハードウェアレベルでのサポートが入るので高速で一時的な容量も必要ありませんが、非常に高価な機器になってしまいます。

ActiveImage Protector の重複排除圧縮

AIPの重複排除圧縮は、バックアップ時にインラインでブロック単位の重複排除を行い圧縮をかけます。これで大幅にバックアップイメージファイルのサイズが縮小できます。バックアップ対象のボリュームあるいはディスクのバックアップをしながら重複を排除して圧縮をかけていきます。

さて、最初のバックアップが終わってもバックアップは終わりではありません。データーは常に更新されているのでスケジュールバックアップを行うのが一般的です。次回バックアップ時、ストレージレベルのポストプロセスではバックアップ取得後に重複排除を行うわけですが、AIPでは元々増分バックアップができるので変更部分だけをバックアップできます。毎回フルバックアップを行う必要はありません。

効果を測定

では、実際にどの程度小さくなるのでしょうか?vForum 2011(2011/10/20)に展示した参考出品したバージョンでの計測です。ターゲットマシンには仮想マシンを3台作成してあります。

重複排除計測データ

重複排除計測データ

高圧縮から更に30%程度圧縮できているのがわかります。所要時間は高圧縮の場合とほとんど変わりませんでした。他社製品の高圧縮も参考までに計測しましたが、圧縮アルゴリズムが似通ったものだからか、AIP v3.1(現行バージョン)を含めてほぼ同程度のサイズに収まっているのは興味深いところです。現行製品にくらべて30%程度のストレージの節約というのは相当の改善と言えるのではないでしょうか。

ActiveImage のイメージ管理

バックアップファイルをどう管理していくのか

バックアップしたファイルをどう管理していくのか、というのはバックアップソフトを使っている以上必ず悩まされる問題です。ActiveImage Protectorはスケジュールに基づいた増分バックアップができます。増分はファイルサイズも小さく、バックアップ時間もかなり短いので常用する機能です。

増え続ける増分ファイルをどうするのか

増分は、ベースとなるフルバックアップと合せて「イメージセット」という概念で管理します。各イメージセットは「世代」として扱います。スケジュールで古い世代から自動的に削除することで、バックアップ保存先の容量不足を抑えられるようになっています。バージョン3.1からは世代管理ではなく、最初のフルバックアップ以降はずっと増分を取りつづけらるようにもなりました。

日々のバックアップにはとても便利な増分バックアップですが、ファイル数が多くなってしまうのが悩みどころです。たとえば、営業時間中(8時間)に一時間毎に増分を作成すると、一日に8個、一週間(営業日を5日)で40個、一ヶ月で約160個の増分バックアップファイルが追加されます。個々のサイズは小さいので容量はあまり心配ではありませんが、ファイルはかなりの数になります。

実際に復元する時のことを考えると、そこまで細かい精度で全ての状態を保存しておきたい、ということも少ないのではないでしょうか?たとえば、1週間分は増分を保存しておいて、それ以前のものはまとめてしまえば、復元するときに目的のバックアップファイルを探しやすくなります。

増分をまとめる―ユニファイドとコンソリデーション

1つのイメージセットは1つのベースファイルと複数の増分ファイルでできています。増分ファイル名は命名規則に従ってbasename_d01_0001_0001.aii というような形になります。ベースネームの後ろはディスク番号、ベース番号、増分番号となっていますが、数が増えてくると管理も大変になります。復元する際はたいだいは最新のものを使うことが多いかと思います。もちろん最後のファイルを選べばよいのですが、100個のファイルをスクロールしなければならない状況になってくると、正直使いづらいです。

こうした沢山の増分ファイルをまとめてしまうのが、ユニファイドとコンソリデーションです。

ユニファイドは、フルバックアップと全ての増分をまとめて1つのバックアップファイルにします。まとめて1つのバックアップイメージファイルになるわけです。復元はこのバックアップファイルをひとつ選べばOKです。

■(ベース)□□□□□□□□(増分) →  ■(ベース)

コンソリデートは、増分を全部1つにまとめる機能です。この場合は、ベース(フルバックアップ)と1つの増分ファイルになります。どちらを使えばいいかは、状況次第です。

■(ベース)□□□□□□□□(増分) →  ■(ベース)□(増分)

もちろんどちらの場合でも、引き続き増分バックアップを継続できます。
3.1の新機能、継続増分バックアップと併用すれば、より効率的なバックアップを行うことができます。

ActiveImage 3.1 の見どころ

ActiveImage 3.1 がリリースされました。

AIP 3.1 バナー

ActiveImage Protector 3.1

3.0から3.1というとポイント.1のマイナーバージョンアップですが、思っていたより強化ポイントが盛りだくさんのアップデートになりました。今回の主な新しい機能は、

  • オフサイト レプリケーション
  • 増分バックアップの継続とリコンサイル
  • リモート管理の強化

です。

バックアップするだけではなく、バックアップ後のイメージファイルの取り扱いやリモートコンピュータの管理といった、エンタープライズ向けにより使いやすく機能を強化したと考えてもらればよいかと思います。
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MySQL のイメージバックアップ – ActiveImage Protector 3.1 Linux Edition

ActiveImage Protector 3.1 Linux Edition リリース

ActiveImage Protector のLinux 版 バージョン3.1がリリースされました。

Linux EditionはイメージングバックアップのActiveImageのLinuxネイティブ版になります。
主な特長は

  • Linuxネイティブ
  • ボリューム単位の高速バックアップ
  • ext 3, 4のホットイメージングバックアップが可能
  • 未使用領域をバックアップしないスマートセクター
  • LVMに対応

となっています。

今回の3.1の見どころは

  • Red Hat Enterprise Linux 6.0/6.1 に対応
  • MySQLへの対応

となっています。
今回のバージョンアップでの一番のウリはMySQLが稼働しているサーバーでのホットバックアップが可能になったことでしょう。

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